鎌倉の住宅

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鎌倉の谷戸(やと)の中に計画した、ご夫婦2人と2匹の猫が暮らす住宅です。
自然豊かな環境を活かしつつ、特殊な敷地条件を読み解きながら計画しました。

今回の計画地は、鎌倉によく見られる、山と山の間にできた谷状の地形「谷戸」の中にあります。
敷地の背後には山が迫り、
斜面に近い部分はレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)に指定されています。
この区域は建物を建てることが制限されているため、
下の写真の左側に見える部分は
プライベートな庭として活用することを前提に計画を進めました。

まずは外観から。
外壁は左官モルタルを使用し、
周囲の豊かな緑が映えるよう、建物全体を黒に近いグレー系の色でまとめています。

玄関アプローチには鉄平石を敷き、
周辺の自然と馴染むような、落ち着いた雰囲気としています。

玄関を入ると、大きなエントランススペースが広がります。
スチールで制作したストリップ階段を設け、その先には大きな窓を配置。
外からの光を取り込みながら、視線が奥へと抜ける開放的なエントランスとしています。
右手に見える部屋は納戸で、玄関から自転車がそのままアクセス出来て、
しまえるように考えられています。

エントランスの壁と天井はラワン材で仕上げ、
床にはモルタルを使用しています。

階段を上がっていくと、その先にも大きな窓が現れます。
緑や空を眺めながら、2階へと上がっていく動線です。

2階はスキップフロアとし、
下段にリビング、上段にキッチン・ダイニングを配置しています。
天井は構造の梁と下地をそのまま表し、
構造体の存在を感じられる空間としました。

上段の窓の先には、先ほど紹介したプライベートな庭が広がります。

LDKはスキップフロアによってレベル差を設けながらも、
ひとつの屋根の下につながるワンルームとして計画しています。
中央に設けた階段の吹抜けによって、上下階の視線や気配がつながり、
家全体がひとつの大きな空間のように感じられる構成としています。

上段のキッチンからの眺め。
リビング側の上部にも窓を設けることで、キッチンに立ったとき、
正面だけでなくさまざまな方向へ視線が抜けるように計画しています。

ダイニングの中央には薪ストーブを配置しました。
冬には庭の緑を眺めながら、薪ストーブの火を楽しむことができます。

ダイニングからリビング側を見ると、
ハイサイドライトから向こう側の山の緑が見えます。
周辺の建物は視界に入らず、緑だけが切り取られるよう、
窓の高さや位置を検討しました。

リビングに面したバルコニー。
バルコニーは庭へとブリッジのようにつながっており、
2階から直接庭へアクセスできるようにしています。
バルコニーは奥行きが約2mあり、同じ奥行きの軒が伸びることによって、
雨が降っていてもこのバルコニーを利用出来るようにしています。

リビングの隣には、2階の個室があります。
個室の外側は、1階のエントランスと同じくラワン材で仕上げ、
ひとつの「木の箱」のように見えるよう計画しました。

室内に入ると、リビングと同じように高い天井が広がります。
ベッドと作り付けのデスクを配置し、
一部はロフトのように使える構成としています。

続いて1階の水回りです。
扉は壁と同じラワン材で制作し、
枠を見せず壁と同化させることで、建具の存在感を抑えています。

洗面台は造作とし、白い正方形のタイルを使用しました。
大きく使いやすい、ゆったりとした洗面空間としています。

1階の個室。
こちらも2階の個室と同様に造り付けのデスクを設け、
デスクから庭や周囲の緑を眺められるように窓を配置しています。

夕景の様子です。
照明は天井に設けたスポットライトを中心に計画し、
ダイニングには象徴的な照明として、イサム・ノグチの「AKARI 75A」を選定しました。

1階の廊下には、真鍮製のブラケットライトを配置しています。

庭側から建物を見ると、2階から連続する庭と建物の構成によって、
まるで平屋のような佇まいにも見えます。

周辺に広がる豊かな緑と、レッドゾーンによって生まれたプライベートな庭。
そして、この敷地特有の高低差を活かしながら、
建物と庭、内部と外部が連続するように計画しました。

鎌倉の土地が持つ特徴を読み解き、
その環境をそのまま暮らしの中に取り込んだ、
鎌倉らしい住宅になったと思います。

–建物概要–

敷地面積:179.20㎡(54.20坪)

延床面積:94.41㎡(28.55坪)

1F:46.83㎡(14.17坪)

2F:47.58㎡(14.39坪)

構造:馬場貴志構造設計事務所 馬場貴志

施工:環建築デザイン事務所 水谷正

鉄骨:Fe metal factory 松本規

家具・建具:chodo 齊藤誠司

造園:山中彬充環境造形 山中彬充

写真:吉田誠

設計・現場監理:柳健太郎建築設計事務所 柳健太郎